【風俗】貴方が求めているのはどのような風俗ですか?ブログ:20 4 21
10年前、元気だったママが倒れた。
脳出血だった。
命は助かったが、右手足は不自由なからだとなった。
幸いな事に、
言葉、記憶などには不思議なほど支障がなかった。
助かってみると、
この事がママ自身の苦しみにもなり、
介護するぼく達の苦しみにもなっていった。
「お前には分からん!」
ぼくにぶつかるママは、ぼく以外にあたる人がいない。
二年前に親父は他界していた。
1年の入院生活から退院する時、ぼくは心に決めた。
「よし、とことんママとつき合って、
笑顔を取り戻すまでは、親父のところに行かす訳にはいかん」と。
医師には無理だと反対されたが、
ママの家を改造し、
デイケアの施設にお風呂を入れてもらう約束をもらって、
ママの希望どおり自宅に帰った。
ママの願いはほとんどやってあげたが、笑顔は戻らない…
五年が過ぎた頃、施設でリハビリの先生に出会った。
「ちょっと簡単な手芸をしてみない?」
「いや!できない」
「できる所だけでも、まあしてごらん」
押し問答が何日かあった末に、
デイケアの日に、しぶしぶ左手を動かしてやってみたが、
ママの思うようにはいかなかったらしい。
でも、あの日の事は忘れられない。
デイケアの車から降りると…
「これ」と、
ママがバッグの中から出したのが、小さな花。
色紙を型の中に押しこんで紙絵にしていく手法のものだった。
「ウワー!できたじゃん」
ぼくは大げさに喜んでみせたが、ママはいつもの顔だった。
だけど、かすかにその中に笑いを見たような気がした。
それから、一作、二作、三作…作品が増えるにつれ、
少しづつ笑顔が出るようになった。
そして、心から
「ありがとう」の一言が
自然に口をついて出るようになった。
この言葉を聞いた日、
ぼくの目が涙でかすんだのを今でも覚えている。